全てのトロフィーを獲得した

「大いなる乙女像は夜中になると動いて人を襲う。この怪異には『歪んだ花嫁』という名前がついているの」

「もうじき目覚めの時がきて、すべてなかったことになる。……何ひとつ、憶えていなくていい」──遠くで時計塔の鐘が鳴っている。

『さようなら、パヴォーネ。どうか元気で……。だいすきだった』

この智見種は、壊れているのかもしれない──しかし見終わった後、パヴォーネの不調はすっかり回復していた。

「少しは気持ちがわかるかと思って。でも無駄だったわね。私に人は愛せない」

「神に自らの模造品を造るよう命じた。でも生まれたのは、無秩序に異造化を繰り返す化け物だったわ。それがネヴァーメイデン」

「夢じゃ……なかったのね」

（マコーのことを忘れてしまったの……？） 血の気が引いてふらつくアルエットを、パヴォーネは優しくいたわった。

「本物を殺した気分はどう？　悪夢をとうとう現実にした手ごたえは？」

「アルエット。あなたを愛している」 「ええ、私も……あなたのことが大好きよ」

今、ふたり分の鼓動の共鳴が訴えるものは、ただ純粋な喜びだった。 出会えたこと、これからも共に歩いていけることを祝福し、高らかに希望の歌を奏でている── 私には、そのように聞こえたのだった。

全てのＢＧＭを聴いた